「関係人口」とは、地域に居住・移住する「定住人口」でもなく、仕事や観光などで地域を訪れる「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人のことです。
地域外に拠点を持ちながらも、その地域や人々と継続的に関わる人のことで、その地域が好きであったり、強い思い入れがあったり、地域作りに参加する意思のある人々を指します。
関係人口では、地域との関係の深さよりもその地域への情熱や想い、愛着を表していることが多くあります。その地域にある景色や歴史的建造物を目的に訪れる観光とは異なり、関係人口と呼ばれる人々は、“訪れる土地そのもの”に何かしらの想いを寄せています。
例えば、昔住んでいて愛着がある、以前よく訪れた懐かしさがある、居心地がよくまた来てしまう親しみなどです。つまり、関係人口と呼ばれる人々は、その地域に興味や愛着があり、かつ関与していきたいという想いを持つ「ファン」と言えるような人々です。
定住人口とは、その名の通りその地域に居住する人のことです。先祖代々その地域に住んでいる人はもちろん、移住によってその地域に新たに住む人も含めて、定住人口と呼ばれます。
この定住人口の減少に悩む地方自治体は、増加を目的として移住促進のためのワーケーションや多拠点居住の受け入れといった施策を行う地域も増えてきました。
そこで期待されるのが関係人口です。関係人口は、その地域に興味があり頻繁に訪れる人なので、その関係が深くなり交流が増えれば、移住へのハードルが低くなり、将来的には移住・定住を考える人が関係人口の中から出てくる可能性もあります。つまり、将来の定住人口候補とも言えるのが関係人口なのです。
交流人口とは、仕事や観光、習い事やレジャーなどその地域に何かしら目的を持って訪れる人々のことを指します。交流人口はあくまで目的を果たすために一時的に訪れることが多く、関係人口に比べて地域との関わりは浅いと言えます。
ただ、一時的に訪れた場合でも、それをきっかけに地域のファンになり、地域の人々と交流を深め、頻繁に訪れるようになるケースもあります。その点、交流人口は、関係人口の予備軍と言えるでしょう。
関係人口が増えると、その地域にとっては地域経済の活性化が期待できます。特に都市部以外の地方の多くの地域では、人口減少による労働力不足といった課題もあります。そこで関係人口がその地域で地場産業の担い手となることで、地域の労働力不足や地場産業の後継者不足といった課題を解決でき、さらにそれが地域経済の活性化につながるのではないかと期待されています。
一方、関係人口となる人々にとっては、自分らしいライフスタイルの確立や成長機会の獲得といったメリットを得られることが考えられます。
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