新型コロナウイルスの感染拡大の影響で注目を集めることになったものの一つに、ホワイトペーパーがあります。社会的なニーズは増えているものの、そもそもホワイトペーパーが何なのか分かっていないという人も少なくありません。
ホワイトペーパーをうまく活用すれば、自社の売上アップや商談の創出につながります。しかし実際に作ろうと思うと、何から手をつければいいのかわからないという人もいるでしょう。
本記事では、ホワイトペーパーの概要と種類、ホワイトペーパーで見込まれる効果や作成手順について詳しく解説します。初めてホワイトペーパーを作ろうと思っている企業の担当者は、ぜひ参考にしてください。
ホワイトペーパーとは、企業が解決すべき課題とその原因を分析して、企業が抱えているであろう課題を解決する自社のソリューションの情報や紹介をまとめた報告書です。主にBtoBビジネスを展開している企業が採用することが多く、ホワイトペーパーを用いたマーケティング手法をホワイトペーパーもマーケティングと呼ぶようにもなりました。
一般的には直接ホワイトペーパーと呼ばれることはなく「お役立ち資料」「市場分析資料」といった名前がつけられたPDFファイルのことを指します。ダウンロードするには企業名や細かな情報を入力する必要があり、営業リスト獲得にも有効な手段として活用されているのです。
ホワイトペーパーと混同されるものに、営業資料(サービス資料)があります。それぞれ自社のソリューションを紹介するという観点では同じですが、具体的に次のような内容で全く異なるものとして定義されています。
営業資料 | ホワイトペーパー | |
記載事項 |
|
ユーザーの興味・関心・課題をテーマとして、具体的な解決策を提示 |
ダウンロードする人の特徴 | サービスそのものに興味を持っている人→顕在層 | テーマに興味を持っている人→潜在層 |
最も大きな違いはダウンロードする人の特徴です。営業資料をダウンロードする人の多くは、すでにそのソリューションの購入や導入に前向きである人がほとんどです。一方のホワイトペーパーは、サービスそのものに興味はなくてもホワイトペーパーで扱っている話題に興味がある人になります。
言い換えれば、すでに購入の意志がはっきりしている顕在層が営業資料を、動悸が薄いが取り上げられている話題に興味がある潜在層がホワイトペーパーをダウンロードする傾向にあります。違いをしっかりと見極めた上で、ホワイトペーパーを作成の参考としてください。
ホワイトペーパーは、提供する情報によって4つの種類があります。
それぞれの特徴について詳しく解説します。
特定の課題や要因分析、解決策の提示から自社のソリューション紹介をする構成パターンのものを課題解決型と言います。自然な流れで自社のソリューションを紹介できるため、現在多くのホワイトペーパーがこのパターンで作成されています。
自社のソリューションによって課題を解決した事例を紹介する形式が、事例紹介型です。導入前と導入後のビフォーアフターを明確にし、自社のソリューションで解決できた実績を全面的に押し出します。具体的な解決策を望む人には効果的であり、リードの角度を高めることができます。
政治や経済関連の団体や業界団体が発行した調査レポートや、業界動向を要約して紹介するのがレポート型です。自社で集めたアンケートの調査結果を利用するケースもありますが、客観的な数字で課題や自社ソリューションによる解決策の提案ができるのがメリットです。
取り上げた話題に対する用語集や、自社開催したセミナーや展示会の報告をする形で作成されるホワイトペーパーもあります。内容には自社のソリューションの紹介も含まれているため、他のホワイトペーパーと同じく、自社の製品がどのように役立つのかの説得材料になるでしょう。
また初心者向けのガイドブックの体裁を出したホワイトペーパーも存在するなど、多種多様なホワイトペーパーがあります。ホワイトペーパーに特定のフォーマットはないため、取り上げる課題や自社のソリューションの特性によって見せ方を変えてもいいかもしれません。
ホワイトペーパーを作成することで期待できる効果やメリットには、次の3つが挙げられます。
後述しますが、ホワイトペーパーの作成には時間も手間もかかります。しかしそれらを補って余りある成果があるのも事実です。それぞれどのような効果やメリットなのか、詳細を見ていきましょう。
ホワイトペーパーは基本的に、ダウンロードする時にプロフィールなどの情報を入力しなければなりません。そのためユーザー情報の獲得ができ、自社のマーケティング活動に応用することができます。
入力する情報は企業によって異なりますが、概ね企業名や担当者名、企業規模などを尋ねる場合がほとんどです。これらの情報をもとに興味のありそうな自社商品の情報を発信したり、自社で検討しているマーケティング手法に応用することができるのです。
獲得したリードを育成するリードナーチャリングにも、ホワイトペーパーは役立ちます。ホワイトペーパーは特定の課題に対する読み物として提供されるものです。そのため、ターゲットが抱える課題や関心を把握できるため、効果的にアプローチして顧客を育成することができるのです。
使用する情報はホワイトペーパーに記載された課題の内容だけではなく、ダウンロード時に入力された情報も参考にします。これらの情報が揃っているとリードナーチャリングがしやすく、比較的簡単に顧客を育成することができるでしょう。
ホワイトペーパーには有益な情報がまとめられているため、営業ツールとして使用することもできます。普段の営業では語らないような内容が記載されていると、顧客の興味・関心を引き付けることができ、結果的に受注数が高まるかもしれません。
顧客にとって価値のある情報を提供することが重要ですが、元々有益な情報をまとめているホワイトペーパーは、顧客にとって貴重な情報源です。これらで興味をひくことで、従来よりも受注確度が高まります。
ホワイトペーパーを作成するには、以下の手順で課題や目標を設定していく必要があります。
主に事前準備の段階が多い印象ですが、事前に課題や目標、ターゲットを設定していなければ顧客にとって有益なホワイトペーパーにはなりません。コンテンツの作成から入るのではなく、まずは課題や目標を設定するところから始めましょう。
最初に行うのが課題の設定です。自社のソリューションがどのような課題を解決できるのか、その課題は現実に企業で起きているのかを検討します。提供したいソリューションが解決に貢献できる課題は複数あるかもしれませんが、その中でもひとつに絞ることが重要です。
高機能なソリューションであるほど、解決できる課題をひとつに絞るのは難しいかもしれません。しかし、ホワイトペーパーはただの商品紹介カタログではないため、特定の課題について取り上げた方が顧客もソリューションのことを理解しやすくなります。
複数の課題の解決ができることを全面的に押し出すのではなく、特定の課題をひとつ取り上げて、自社のソリューションがどのように役立つのかを明確にするようにしましょう。
続いて、ホワイトペーパーを読んだ顧客が次に取る行動の目標を設定します。「いい情報が得られた」だけでは、ホワイトペーパーを作る意味がなく、企業としてもメリットがありません。具体的にホワイトペーパーの読了後、どのような行動をとってほしいのかの目標を数値で設定するようにしましょう。
この目標で最も多いのが、ホワイトペーパーを読んだ後に課題解決のためにソリューション選定の段階に入ることです。これ以外にも問い合わせやソリューションの資料請求などを目標として設定してもいいでしょう。
具体的な数値目標を立てておくと、定点観測もしやすくなります。
目標と課題が決定できたら、ターゲットの設定です。マーケティングにおけるペルソナの設定と同じく、誰にダウンロードして欲しいかというターゲット像を設定しましょう。
目標が定まった時点でコンテンツ作成に入ってしまうケースもありますが、ターゲットを明確にすることで、コンテンツの方向性をより明確にできます。いきなりコンテンツ作成に入る前にきちんとターゲットを設定してから、コンテンツ作成に入るようにしてください。
ここまで決定した事項に従って、ホワイトペーパー全体の構成を作成します。具体的な内容まで作る必要はなく、この段階では目次を作成する程度で構いません。目次が設定できれば、その後中身をどうするかは後々検討できるためです。
以上の流れはホワイトペーパー作成の一連の流れです。課題や目標の設定など、設定までに時間のかかることもありますが、ホワイトペーパーの効果を高めるためにぜひやっておきたい施策といえるでしょう。
提供する企業によって少しずつ異なりますが、ホワイトペーパーの代表的な構成は次のようになっています。
作成の際にはそれぞれポイントがあります。ダウンロードしてもらいやすくしたり、興味を持ってもらうためにはそれぞれのポイントを意識することが重要です。ホワイトペーパーの構成について、各部分の詳細を解説します。
表紙の中でも最も重要になるのがタイトルです。デザインも重要ですが、ホワイトペーパーがダウンロードされるかどうかは表紙のタイトルで左右されると言っても過言ではありません。
明確に想定読者を明示したり、手に取るメリットに訴求したりすることで、訪問者が思わずダウンロードしたくなるようなタイトルがつけられます。タイトルはメインタイトルとサブタイトルの2つを用意するといいでしょう。
なぜホワイトペーパーを作ったのか、その目的を読者に伝えます。目的を明示することで、ダウンロードした企業の担当者がどのようなメリットを享受できるのかが分かりやすくなるためです。
手の内を明かすようで書きたくないという風に思う人もいるかもしれませんが、ホワイトペーパーをダウンロードする人の多くは自社にメリットがなければその続きを読むことはありません。明確にホワイトペーパーを作成するに至った目的を伝え、どのようなメリットが読者にあるのかを書き記すようにしましょう。
ホワイトペーパーの内容を目次にまとめて、どのような内容が記載されているのかを把握しやすくするためのパートです。ここまで紹介した3つは、ダウンロード前に目を通せるようにしておきましょう。
ダウンロード前にこれらの部分に目を通せることで、実際にダウンロードする価値があるかどうかを判断してもらうためです。言い換えれば、ホワイトペーパーをダウンロードしてもらうには表紙・目的・目次の内容をしっかりと固めなければならないのです。
具体的なコンテンツの中身を記載するパートです。さまざまな書き方がありますが、最もオーソドックスな流れとして次のような構成があります。
上記の流れを意識して内容を作成すると、内容が分かりやすくまとまります。具体的にどのような内容を記載するのか、詳しく見ていきましょう。
内容の簡単な紹介や、何が書いてあるのかの要点をかいつまんで記載する項目です。目的や目次と同じく、この内容は読む価値があるのかを判断してもらうために重要なパートでもあります。
企業が抱えているであろう問題を提示する項目です。「ホワイトペーパーを作成手順」でも紹介した課題をベースに、後に紹介するソリューションへの導線として不自然でない内容を記載しましょう。
具体的な解決策を明示します。自社のソリューションの紹介は後に詳しく行うため、ここでは一般論を含めた解決策を記載するといいでしょう。その中にソリューションの持っている機能を組み込むことで、次の製品・サービス紹介につなげやすくなります。
課題の解決につながる製品やサービスの情報を記載します。複数の機能を持っている製品の場合は、ホワイトペーパーで取り上げた課題に対する機能にスポットを当てて記載するといいでしょう。他の機能説明は簡単に済ませるなどの工夫が必要です。
内容全体の総括を行うパートです。製品・サービスについての言及はほどほどにし、問題提起と解決策の要点をまとめて記載すると自然な流れで結論が出来上がります。
ホワイトペーパーを作成した会社の概要を記載します。どのような事業を行っており、どんな理念のもとを企業活動を行っているのかを記載しましょう。代表者情報や資本金など、情報の提供元として信頼性を高められる内容を記載してください。
特定の著者がいる場合はその著者の紹介を含めるようにしてください。また忘れてはいけないのが問い合わせ先です。ホワイトペーパーを読んだ後、読者がどのように問い合わせをしてくるのかは人によって異なります。メールアドレスや電話番号など、自社の問い合わせ先情報を必ず記載するようにしてください。
ホワイトペーパーは、ある程度取り上げた課題に対して関心を持っている人がダウンロードするというケースがほとんどです。しかし、そのことに安心しすぎて次のようなことをやらないようにしてください。
最も重要と言っても過言ではないのが、専門用語を使いすぎないことです。いかにホワイトペーパーで取り上げている課題に興味や関心を抱いているとしても、専門用語が理解できるような人ばかりがダウンロードするわけではありません。
ホワイトペーパーを作成する際は、可能な限り予備知識なしで読めるようなホワイトペーパーを作成することが重要です。もし専門用語や業界用語を使用する場合は、本番中に客注を加えるなどして読みやすくなる工夫をしてください。
必要以上に商品やサービスを売り込みすぎないことも、ホワイトペーパー作成において重要なポイントです。どうしても自社のソリューションを強調したくなる気持ちはわかりますが、ホワイトペーパーの役割はあくまでも顧客の課題解決です。
必要以上にメリットを伝え過ぎず、かと言って伝えなさすぎないような絶妙なバランスが求められます。社内で対応を検討するなどして、内容の精査を行いましょう
ホワイトペーパー全体を通じて、ただ事実だけを羅列するような内容にはしないでおきましょう。断片的な説明や事実の羅列だけでは、分かりやすい資料とは言えません。
前提として、ホワイトペーパーはひとつのストーリーを記載するものだと覚えておきましょう。ロジカルにストーリーが展開されるような内容であれば、多くの読者の注目を引きつけられます。論理的に詳細を説明するような文章を仕上げることに注力してください。
自社でホワイトペーパーを作る余力がない場合、外注することもできます。しかし、すぐに外注をするのではなく、自社の理想性やノウハウ、資金的な体力を考慮して検討する必要があるでしょう。
ホワイトペーパーを作成するのに必要なリソースは、ライティングや製本をすることです。自社にライティング及び製本ができるリソースがあるのであれば、内製を検討してみてもいいでしょう。
ないという場合は、外注を選択することをおすすめします。ただし、丸投げでできるわけではなく、外注先とのコミュニケーションやディレクションでコストや時間はかかってしまいます。業者の選定を慎重に行い、帰って自社のリソースを圧迫しないような業者を選ぶことが重要です。
自社でホワイトペーパーとして発信できるような専門的な知識や知見があるかどうかも、ホワイトペーパーを内製するか外注するかの判断材料になります。車内に治験がない場合は専門知識を持っている外注先を探して、ホワイトペーパーを作成するといいでしょう。
もし外注する場合は、全て一括でお願いするのではなく、車内でアウトラインだけは決めるというようなやり方がおすすめです。こうすることで、自社が発信したい内容がぶれる可能性が少なくなるため、多少時間はかかってもアウトラインだけ作成しておくことをおすすめします。
ホワイトペーパーを外注する場合、1本あたり10~30万円程度の費用が必要です。ここまでの予算がかけられるのであれば外注しても問題ありませんが、費用的に苦しいというのであれば内製した方がいいでしょう。
外注先を決める場合はかかる費用だけで決めてはいけません。過去の制作事例の品質もあわせて、自社の価格感と合うかどうかを最終判断してください。
内製にも外注にもリソースや費用をかけられない場合は、過去に作った資料などを再利用するという形でホワイトペーパーを作る手法があります。そもそも、ホワイトペーパーは新規で作成する必要がありません。自社が発信しているブログや営業資料などがあれば、切り口を変えてホワイトペーパーにすることができます。今あるコンテンツを再利用することで、工数や時間、費用を大幅に削減することができるでしょう。
ホワイトペーパーの作成が完了した後は、一般に公開することになります。掲載方法は企業によって自由ですが、具体的に次のような使い方をするのが一般的です。
それぞれメリットとデメリットがあるため、安直に決定せず、車内で検討してから掲載先を決めるようにしましょう。
最もオーソドックスな方法が自社のWebサイトに掲載することです。掲載にかかる手数料も必要なく、コスト的にはもっともメリットが大きい方法です。
反面、自社のWebサイトに足を運んでもらう仕掛け作りが必要になります。SEOコンテンツの作成や広告、SNSやメルマガの活用など、さまざまな方法でホワイトペーパーのあるWebサイトへアクセスしてもらう努力が必要です。
すでにアクセス数を集めている他の媒体に掲載するという方法もあります。自社サイトではないため掲載費用がかかりますが、自社で集客をする必要がないのがメリットです。
また、自社で行ったコンテンツマーケティングだけでは手が届かないリードを獲得できる可能性もあります。予算に余裕があるのであれば、ぜひ検討したい方法のひとつです。
一般の営業活動や展示会における営業ツールとして、ホワイトペーパーを活用する方法もあります。ホワイトペーパーは顧客側の視点に立って作成する資料であり、営業においても高い効果を発揮するでしょう。
印刷や製本などの手間はかかりますが、それらが許すのであればぜひ活用してほしい方法です。通常の営業資料と比べて反応がどう違うのかをリサーチしてみるために活用するのもありでしょう。
ホワイトペーパーは、企業が抱えている課題を自社のソリューションがどのように解決できるのかを明確にするための資料です。製品紹介を前面に押し出すのはよくありませんが、自然な流れで自社のソリューションを知ってもらういい機会になります。
作成には手間も費用もかかりますが、今までアプローチできなかった企業や業界にリーチできる可能性があります。うまく活用して、自社の売り上げアップにつなげられるようにしましょう。
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